おもしろいことおもしろいこと

主に見てきた芝居の話

スパマロット@赤坂ACTシアター


1月21日(土)、赤坂ACTシアターに「スパマロット」のマチネを見に行つてきた。
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幕開き直後から客席は笑ひの渦。幕の降りるまで、ずつとそんな調子だつた。
終演後も、「おもしろかつたねー」「(笑ひつぱなしで)おなか痛くてつらいわー」などと語り合ふ人々の聲を耳にした。
成功だつた。
さういふことなんだらうな。
 
或は、一言、いやさ、二言も三言もある人々は、ただ何も云はずに立ち去つただけかもしれない。
 
たとへば、幕開き冒頭にマイケル・パリン(最近は「ペイリン」が一般的かと思ふので以下ペイリン)の「Finland」を元にした歌が披露されるんだけれども、その中に「Fish Slapping Dance」のパロディが出てきてこれの出来がなんともお疎末でなあ。
 
「Fish Slapping Dance」は「空飛ぶモンティ・パイソン」で放映された20秒足らずのスケッチ(コント)なんだが、これが何度見てもいい。何度見てもをかしい。なにがいいつてペイリンがかはいいんだよなー、なんだかわかんないけど。
パロディ版はこの「真面目にかはいい」感じが皆無だつた。
それで、この時点で既に「むう」だつたりはしたわけだ。
 
事前に見てきた人の話を参考に、「ホーリー・グレイルとはまつたくの別物」「舞台特有、モンティ・パイソン特有の毒は皆無」「池田成志を見に行くんだ、ヲレは」と云ひ聞かせて見に行つたものの、いきなりくぢけてしまつて、我ながら実になさけない。ほんと。
 
池田成志は、でも、といふか、やはり、といふか、最高だつた。
ランスロットはもちろんだが、フランス兵、ニッの騎士、ティムなんかが實によかつた。
理屈がないもんね。
あのどこまで続くんだといふ意味のないセリフ。
最高だね。
 
「ホーリー・グレイル」と比べてしまふと、「スパマロット」ではパッツィの出番と活躍が格段に増えてゐる。演じたのはマギーで、軽妙でいい感じだつた。マギーは「ホーリー・グレイル」ではエリック・アイドルの演じてゐた話のわからない衛兵の役もやつてゐて、こちらもよかつた。
ただ、まあ、「Always Look on the Bright Side of Life」は、やつぱりロビン卿で聞きたかつたかなあ、といふ気もする。
 
ロビン卿は戸次重幸。
今回のメンバからいつて、アーサー王はこの人ぢやないかなあ、と、見ながらしみじみ思つた。
なにしろ聲が王族聲だ。
やつぱり「ホーリー・グレイル」と比較してしまふが、「ホーリー・グレイル」のいいところはグレアム・チャップマンアーサー王、といふところにもある。
チャップマンは「空飛ぶモンティ・パイソン」でもシーザーとかえらそーな王様や皇帝の役をよくやつてゐて、さういふ役がぴつたりはまる。
ユースケ・サンタマリアが悪いといふわけぢやないけれど、残念ながら「威風堂々」とかいふ風にはいかない。ロビン卿なんかぴつたりだとは思ふんだけれどもねえ。
 
まあ、本場の「スパマロット」のことは全然知らないので、そちらはかういふやうなのかもしれない。それをそのまま持つてきたのだとしたら、上の感想はまつたく的外れだらう。
 
最後になるが、生オーケストラといふのはいいね。
最初、トランペットが若干フラットな気がしたけれど、全体的に生き生きとした演奏でとてもよかつた。
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